城に着くまでの間、カイルの頭にはいくつかの問題点が浮かびあがっていた。





・花音の願い事と同時にカイルが花音にキスをした事。




この場合、花音の願い事と婚約関係、どちらの優先順位が高くなるのか。




・シャボンの国の者と人間界の者。




異世界に住む二人が一緒に居続ける事は可能なのか。





花音の願い事が認められず、却下された場合には人間界でまた二人で居る事も可能だろう。



そもそも、カイルには幸せになる相手の婚約者など居ないのだから。




だが、もし「自分の国へ戻って」という部分だけ願い事が認められたなら。




その際、カイルは人間界に戻れず、花音のみが戻される事態も出てくるかもしれない。






それでも、カイルとて簡単に引き下がるわけにはいかなかった。



自分を王族とも見ない、落ちこぼれとも見ない。



ただ、等身大の自分として見てくれていた花音。



そして気付いてしまった感情。



これまで大切な者を何人も失ってきたのだ。






―――花音だけは。



何があっても手放さない。







その決意を胸に自らが生まれた場所へと急いだ。