「だってカイルは今こうして自分の国に戻ってきた。それが答えなんだよ、きっと」




こんな言葉しかかけてやれない事を恨めしく思いながら。



だけど、今の花音にはこの言葉が精一杯だった。



だって、自分はリルという存在を何一つ知らない。



ただカイルからの話を聞いただけで。



なのに、あまりにも飾り立てた言葉を落とせばどこかそれは上辺だけの言葉に聞こえてしまうんじゃないかと思えてしまって。




だけど、カイルがリルを殺めた事。




それは間違いだったわけでは無いだろうと思う事は花音の正直な意見だった。




カイルが優しい事など、もうとっくに知っている。



綺麗な景色を見せてくれた。



風邪を引いた時、心から心配してくれた。



バイト先まで迎えに来てくれた事も、家に帰ると「お帰り」と声をかけてくれた事も。



全て、カイルの優しさからだと花音は知っている。



そして、その優しさ故に弟にしてしまった事をこうして悩んでしまっている事も。