「なぁ、花音…」



耳に届いた声がほんの少し戸惑いを含んでいる事に気付く。




「何…?」




見上げればやはりカイルは僅かに眉間に皺を寄せていて。



そんな些細な事に花音の心は不安になった。




「…リルの事。話していいか?」




―――リル。




カイルの夢にまで現れた人物。



知ってみたい気持ちと、どこか怖いと思う気持ち。



それでも。




「…花音には知っててもらいたいんだ、」




こんな事を言われては花音には頷く他ない。