「…っ、好、き…。カイルが好き…、」




ポロポロと涙を零しながらそれでも花音は想いを口にした。




婚約者の存在。



もう会えない現実。




その絶望を受けてしまった花音にとってカイルの自分への想いは心から嬉しいもので。




ふと、優しい感触に包まれればカイルが自分を抱きしめてくれている。




これまでは、嬉しい中にどこか罪悪感を覚えていたこの行為が今は単純に嬉しくて幸せなものだと思えた。