「淳、藍希に告るのは藍希が高校生になってからって言ってなかった?」

真夜中の和司の部屋。
テーブルの上には、いくつかのスナックと藍希特製の白ぶどうのジュース。
これがあっさりしてて美味しい。

「だからさ~、うっかり油断してたらぽろっと零れちゃったんだよ。
しかも、寝てると思ってたのに、藍希起きてたし」

はぁ、と淳は大きな溜息を吐いた。

「俺、何年も藍希に手ぇ出さない自信がない…」

ボヤかれたその言葉に、和司は妙に納得する。
__だから、淳は藍希が大人になるまで待つなんて言ってたんだな。

和司も淳も19歳だ。
当然のことながら、大人の欲求も持っている。
でも、まだ大人じゃない分、そのコントロールには自信が持てないのが事実だった。

「もう俺ヤバいよ。
藍希無防備過ぎるんだぜ?

昨日はころっと俺の腕ん中で眠っちまうし。
今日なんか、証が欲しいなんて言い出して…」

はあ、ともう一度溜息を吐く。
そんな淳に和司は遠慮なく笑った。

「ははっ!さすが藍希。
淳も大変だね、これから…」

くすくすと心底おかしそうに和司は笑う。

「笑い事じゃねぇって。
マジでキスマークの一つや二つ、付けてやろうかと思ったぜ」

まぁ、触れるだけのキスで終わったけどさぁ…。
そしてうな垂れる淳は、不憫だった。

「ま、頑張れ。
でも…藍希の気持ち無視して自分の欲望に突っ走ったら、淳でもただじゃおかないよ?」

口元には微笑。
でも、和司の目は笑っていなかった。
淳は条件反射のように鳥肌を立てる。