そして、叫んだ。バロスに劣らぬ声量で。

「だって仕方ないぢゃないか!!」

だが、バロスは反論する。

「そんなこと知ったことではない!!」

怒髪衝天。

バロスは走った。

セリヌの元へ。

セリヌまであと3mというところで、乾いた音が鳴った。

そして、彼の足元の地面が跳ねた。

いや、正確には銃弾が跳ねたのだ。

彼は音の鳴った方向を見た。

一塁側スタンドに一人の男が座っていた。

手元には、ライフルが見えた。

「ヒットマンのアレックスだ。それ以上近づいたらどうなるかわかっているな?」

セリヌは不敵な笑みを浮かべた。

バロスもセリヌがそこまでする男だとは思っていなかった。

「バロス、キミが死んだら我が社の新聞のトップ記事にしてあげるよ」

「セリヌ、だとしたら私はあと三日間生きていられる」

なぜだ? セリヌは顔を歪ませた。

「なぜならキミの新聞は世間に信用されていないからね。私の記事も『またライジングってるぞ』と嘲笑されるだけだ」

「何だと! マジでありそうだから困る!!」

セリヌは憤慨した。

二人の怒りは有頂天(誤り)に達した。

二人はにらみ合っていたが、やがてバロスが口を開いた。

「男なら、一対一で勝負しろ。私とキミの、一対一だ」

「何で勝負する気だ」

バロスは笑みを浮かべる。

「――野球だ!!」

「面白い! 10年振りの野球勝負と行こうじゃないか!!」

セリヌはまるで自分が勝利したかのように笑った。