「博孝…そんなに格好良かったかしら」


母が頬を染めながら僕の顔に触れる


「か…母さん?」


「鏡!見てみなさいよ」


母に背中を押され洗面所へと向かう




全く…僕なんかが格好良いわけないだろう



なんて思いながら鏡を見た瞬間…



「え?誰?」




自分じゃない綺麗な男の人が鏡に映っていた


咄嗟に後ろを見ても誰もいない


しかも“そいつ”は僕の行動を真似してくるのだ



ってかこれ僕?!




僕なの?!





恐る恐る自分の頬に触れれば
鏡の中の“そいつ”も頬に触れる




「う…嘘だろ」




自分の頬を抓ってみた



「痛てて」




抓った頬を撫でてもう一度鏡を見据えた




「冗談だろ…」





僕の呟きは洗面所に響くだけだった