「僕と勝負しましょ?」


「勝負!!……あ」


クスクス

「うー…」


「好きだと思いました」


「い、いいでしょ!」


実は私、勝負事も大好き。負けないようにっていつもよりも頑張れるから。


「中間テスト、僕と勝負しましょうよ。特典つけて」


「特典?」


「ベタに勝った方の言うこと聞く、なんてどうですか?」


何事もリスクが大きければ大きいほど、やる気がでるものよ。


「するわ!負けてもしらないから」



「いえ、俺も本気、出させてもらうんで」



私の知らない妖艶な顔で微笑む帝に。一人称が『俺』になった帝に、一際大きく胸が高鳴った。


「ま、負けないわよ!!」


「どうでしょうね」



そのまま唇を寄せてきた帝を拒みはしない。

どこまでも甘い帝に、初めて負けそうな…そんな気持ちの中、夕暮れに染まる教室でいつまでも温もりを感じていた。






END