未完成な妃



「もっ、無理です」


「へ?」


「んぐっ」


槇が抱き締める力を強くした。

ちょっ、くるっ、苦しい!!


「槇!!苦しい!!」


「ちょっと我慢してください。和紗が悪いんですよ」


「あっ……」


初めての呼び捨てに胸が苦しい。

これはアレよ。槇の力が強いせいよ。うん、そうに違いないわ。


「というか、どうして私のせいなのよ」


「好きだから」


「なっ……!!」


「好きです、和紗」


「わ、分かったから!!」


「好き」


チュッ

「ん…」


ななななな……!!


「好きです、どうしようもなく」


槇は好きという度に顔の至るところにキスの雨を降らせる。


「ま、槇っ!!」


「何ですか?」


「何を……!!」


「何って……キス?」


「疑問系で返すんじゃないわよ」