未完成な妃



「頑張らなくていい、なんて……もう私はこれ以上無理だって言われてるみたいで……」


「そんなこと……」

「ない、よね。分かってる」


槇の言葉を遮る。私だってね、みんなが悪いって言ってるわけじゃないの。
むしろ悪いのはこんなにひねくれてる自分自身。


「………」


「本当…嫌になっちゃう……」


「僕はそんな会長…好きですよ」


「……っバカ槇。私、今まで人前で泣いたことなかったのに!」


「じゃあ僕の前以外では泣かないでくださいね」


「弱音だって吐いたことなかった」


「だったら僕が責任とります」


「嫌よ!」


「どうして?」


「だって……その分、弱くなる気がするもの」


「クスッ…」


「笑うな」


「大丈夫。会長は強いです」


「ほん、とう……?」


槇の顔を見上げる。


「………っ!!会長…」


「槇……顔赤いわよ?」


「見ないでください」


珍しく真っ赤になった槇をまじまじと見つめる。


「会長……もうホントにっ」


「……えで…」


「え?」


「名前で……呼びなさいよ」