未完成な妃




廊下を早足で歩く。


大体何なのよ。今日は良いことがないわ。

中間の順位発表は無しになるし、槇は相変わらずウザいし。


あーーもうっ!イライラするっ!



「あ、和紗さま!」


呼ばれて顔を上げるとそこには私に駆け寄る女子生徒二名。


「和紗さま、今お帰りですか?」


「ええ、図書館にいたの」


「またお勉強ですか?体に気をつけてくださいね」


「ありがとう」


「そういえば!和紗さま、今度の中間の順位発表が中止って本当ですか?」


何で知ってるのかしら。……横山先生ね。


「そうよ」


「そうなんですか!やったあ」


そうよね。普通は発表なんてされないほうが嬉しいわよね。


「あっ、じゃあ和紗さまもあんまり頑張りすぎなくてもいいんじゃないですか?」


「え?」


「そうですよ!和紗さま、頑張りすぎです」


「え、ええ……そうね。心配してくれてありがとう」


「それじゃあ…」私はそう言って早足に彼女たちの元を去った。