「会長って髪キレーですよね」
槇が私の腰まである髪を一房手にとる。
もちろん黒髪だ。だって日本人だし。わざわざ傷める趣味も生憎持ち合わせてはいない。
「誰が触って良いなんて許可したのよ」
「僕です」
「間髪入れずに答えるな」
「会長……」
「だから何なのよ」
「トリートメント、してます?」
「……、リンスくらいは」
「…………」
てかいい加減離しなさいよ。
「どうしましょう会長。指が離れません」
「は?」
「会長の髪、気持ちよすぎて、ずっと触っていたいです」
「変態か」
「だって何ですかこの髪!!サラサラで柔らかくてスルスルなんて……!!」
スルスルってどういう状況なんだおい。
「というか、よく言われるが皆と変わらないと思うけど」
お前にも天使の輪が出来てるぞ?まあ、蛍光灯の下なら皆出来てるけど。
「会長のは次元が違います」
次元て……。褒められてるのか何なのか。


