「実は、さっき会ったんです。大地に…。」
「そうか…。」
私はどうしても知りたかった。どうして大地は変わってしまったのか。
空白の時間を…。
「野口さん…。大地になにがあったんですか?」
運命は残酷すぎで…。
私の心が潰れかけた瞬間だった。
「大地君は…。記憶を無くしたんだ。」
「記憶を…ですか?」
「まあ、細かく言えば事件のことは覚えてる。でも君との思い出をすべて失ってしまったみたいなんだ。」
その言葉をきいた瞬間、涙が流れ出た。頬からひと雫、大地からもらったリングに降りかかった。
そのリングは眩しくて、心がぎゅっと、苦しくなった。



