「……早速で悪いのですが、美空様」


「はい?」



神さんはにこり、と美空の方を見て
申し訳なさそうな表情をする。



「ある方が美空様を買い取りたいと」


「……え」


「娘に似ているらしく、看取って欲しいとか」



目を見ても、真っ黒なままで。
全然動じなくて。

美空は真っ直ぐ神さんを見て、綺麗に笑う。



「分かりました」



神さんはその返答に微笑み、美空にお辞儀をする。



「有り難うございます、美空様」


「……いつからですか」


「…気が早いですね。
良いでしょう、今から普段通りの美空様のままで」


「その娘様のお名前は?」


「確か千秋…様かと」



千秋様ですね、と美空は繰り返して
神さんの用意した車に乗った。