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ふんわりと揺れるようなそよ風。

その心地よさだけが、私を映す。



「……あら? 美空、早いわね」


ママ−…こと、私のお母さんがわりのこの方は……私を預かっていてくれる人。


唯一、信頼できそうな方……。



不思議そうに私を見るママに私は優しく言う。



「……早く起きる。これも『居候』の役目です」



「まぁ……。そんなに堅くならないで頂戴…。」


私の返事を聞いて、眉を潜めて悲しそうに言うママ。


……ママの悲しそうな表情。

これを目の前にすると、私は何故か自分も悲しい気持ちになってくる。



「でも……それが居候ですよ…」



力不足の言い訳。
でもこれは……自分自身に言い聞かせる為でもある。


その言い訳を聞いたママは、より一層……悲しそうに、今度は目まで下に俯いてしまった。


「……お願い、美空。
お願いだから−−どうか『居候』などと、堅苦しいことは言わないで……


あなたは私の娘なのだから…」



……ママ……。

でも、私。
甘え方を忘れてしまったの……。


だからね、ママ…


私……わからないんだよ。



この答えに頷いていいのかすらも−−…