DOLL+〜ボロボロだった俺の女〜

−−





「じゃー、今日はこれでおわりよ?」



ママが、美空の肩をたたき優しそうに告げる。

美空……こと、野々宮 藍はその優しさに甘えていいのかわからない。

だから当然。




「……あの。 私は……ホントに終わりなんですか?」




こんな疑いもしてみたくなるだろう。



なんでこんなに驚くのかというと、
当然ながら、彼女は今日の仕事に驚いたから。



実は、ママがすべて16歳の藍のことを思い、計画したのだ。



ここ−……『Lover of snow』はキャバクラ店なのだが。

店の経営はママがやるという仕組みになっている。



だから、藍がやった


皿洗いも

洗濯も

挨拶も



全て……すべて
ママの藍に対する心配りだったのだ。


もちろん、藍以外の普通のキャバ嬢達は、接客なのだが。



ママは、もちろん藍が気づかれないように……にこっと
優しい笑みを浮かべる。



「そうだよ、藍ちゃん。」



少女はその言葉に安心すると帰る支度にかかろうとした……けど。



「ママ……すいません。
私……帰る家がないんです………」



少女の瞳に映る闇は−−…黒い。


申し訳なさそうに下にうつむいている少女に、困ったママはこういった。





「だったら、私の家に来なさい!!!」





「えっ……」