DOLL+〜ボロボロだった俺の女〜

「藍ちゃんね?
神さんから伺ってるわ……大変だったでしょう」



にこり、とまた女の人は艶やかに笑う。

多分、神さんとは……あの老人のことだろう。



「いきなり説明で悪いけど………


ここは『Lover of snow(ラバー・オブ・スノー)』。


もちろんキャバクラなんだけど…歳は?」



「16です」


私ははっきりと、本当の歳を言う。


嘘はついてはならないから。



そして−−
もう、この未来を足掻かないために。



「十六ねぇ…。 高校は?」



「辞めました」



強いていうと、高校中退。


借金なんて背負って、高校なんて通ったら……ただの甘えんぼじゃない?


本来は悲しいはずなのに、私はなぜか平気。




「……ほんとーにやる気ある??」


お姉さんの張りのある声。

その意図に吸い込まれそうになりながらも……



「………はい、やりたいんです。

自分の限界が知りたいんです!」



あえて、強めに言う私。

ホントは、借金をかえすためだけど……




ちょっとのウソくらい、していかないと生きていけない。