『ふざけんな』
あの日レツはそう言って私の腕を引いたまま家を出た。
その表情はどこか苦し気で、さっきまで怒りを含んでいた顔とは少し違うふうに私には見えた。
その日の夜 何かがあったのだろ………、
だからレツは私を送らなくなったんだろうか。
夜電話に出てくれないレツは、私に内緒で出かけているとしか……それしか思い当たらない。
本当はただ電話に出れないだけかもしれない、だから実際の所はレツが出かけているなんて保証はない。
だけど何故か不安だった………
あの日以来変わってしまったレツの行動が不安だった。