しっかり抱き締めあった後、レツが少し腕の力を緩めた事によって私達の間に空間が出来る。



私は見上げるようにしてレツを見つめると



「どうして今日、私の家の前にいたの?」



レツは少しの沈黙の後私の前髪をサイドに流した。

「お前が退院だって聞いたから今日は俺が来た。」



「……今日は?」



何だか少し引っかかる言葉。



“今日は”という単語が不自然な言葉。



レツは珍しく少し焦ったような「やべ!」って顔をすると、



「これには理由がある……」




そう口にした。