「サヨナラ」 もう一度言ったその言葉に 一瞬だけ緩んだレツの手から自分の手を引っこ抜くと、鞄も持たずにそのまま部屋から飛び出した。 とにかく走った レツが来る前に、追いかけて来る前に 後ろではワンテンポ遅れてバンっとドアを開ける乱暴な音と「ジュン!!」って声が聞こえる こんな時だけ神様は私の味方をしてくれるらしい 私はちょうど来ていたエレベーターに駆け込んで閉めるボタンを連打した。