依頼人



「あなたは?
 あなたは私のこと……」

 女が声を絞り出して、ツヨシの背中に向かって叫んだ。


 ツヨシは立ち止まり、ゆっくり振り返ると、

「悪いな。
 俺はもう二度と、
 誰も愛さないと決めたんだ」

 と言って、困ったような笑みを浮かべた。









Fin.