「椎……」 不意に呼ばれた、名前。 その声が…なんとも言えない… 悲しい声だった。 「そっか…。悪かったな。無理矢理…」 そう言って、 あたしの体を起こし、 ボタンを一つずつ、 とめていってくれる恭。 …………そのときに見た恭は…。 声だけじゃなくって……。 顔も…悲しそうで。 ………同時に、悔しそうで。 これ以上、 見てられなかった。 目をそらしたかった―…。