「何言ってんだよ、
 いつでも連れて来てやるって。」

「わかってるよ、バーカ。
 ちょっと言ってみただけだし。」

「なんだよ、可愛くねーな。
 素直に言えよ、ありがとうって。」

「…ん。もうこうしてる時間も侑太と 
 居れる時間が減ってるんだよね…。」

忘れてた…。陽菜は、病気だったんだ。

そんな風に見えないくらい
今日ははしゃいで見えた。

でも、きっと陽菜は病気のことも
考えながら今日を過ごしてたんだ。

俺は何も言えなかった。

言いたくなかった。

俺はそっと陽菜の頬に触れた。

陽菜は少し目を赤くしている。

ゆっくり俺は顔を近づけると
陽菜の唇に小さく自分の唇を重ねた。

その時、俺の顔に冷たい滴がついた。


    余命 残り約5カ月