今抗がん剤を使えばガンの
進行は少しだけど防げる。

でも使ったら副作用が出て侑太や学校の
みんなに迷惑をかけてしまうと思った。

美代先生は何かを考えていた様子から
あたしに真剣な眼差しを向けた。

「陽菜ちゃんが入院してる頃、
 陽菜ちゃんの体はガンに
 負けてしまってる状況だと思う。
 そこに抗がん剤を使えばもっと
 苦しくなるかもしれない。
 それでもいいの?」

あたしはもう決意してる。

人はいつか死んでしまう。

あたしの場合、
それがみんなより早いだけ。

だからこの現実を受け入れようと思った。

「はいッ。それでもいいです。」

「陽菜ちゃん好きな子いるでしょ?
 わかったわ、一緒に頑張りましょ。」