「上村さーん、診察のお時間でーす。」

若い看護師が近付いてきた。

「はーい、じゃあ後でね侑太。」

「おう、
 まぁ陽菜の事だからただの風邪だよ。」

「ははは、あたしだって女だし。
ちょっとぐらい心配してよ。」

陽菜はそう言うと車いすで運ばれた。

昨日倒れて足をねんざしてしまったらしい。

俺はこの時、
【陽菜だから大丈夫】と思い込んでいた。

それが甘かったんだ。