『死ね』
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「日和?」
ドアのノック音で目が覚めた。
父があたしの名前を呼んでいる。
「ん…」
まだ眠い目を擦って時計を見たら
いつもならもう起きている時間だった。
びっくりして飛び起きると
頭に激痛が走った。
頭を押さえながら
ノックの音に返事をする。
その声を聞いて
父がドアから顔を出した。
「日和?寝坊するぞ?
…って、顔色悪いな。
具合悪いのか?」
あたしは起きれなくて
自分の仕事もしなかったのに
怒らない父は、
あたしの体調まで気にかけてくれる。
「ん、ちょっと頭痛い…」
頭を押さえたまま、答えた。
「そうか、今日は休めばいいよ。
昨日ずぶ濡れで帰ってきたからね…
今日はゆっくり寝てなさい。
何もしなくていいから。
学校には僕から連絡しておくね。」
いつもの笑い顔で、父は言ってくれた。

