電車を使う距離。
その道のりを
線路に沿って走っていた。
途中から雨が降り出した。
「……。」
髪から頬に、雫が走った。
雨なのか、涙なのか
あたしには分からなかった。
聞こえるのは、
雨の音よりも人の声よりも
自分の喉から聞こえる嗚咽。
「…なんで……」
また、同じ失敗…
あたし、悪い事してないのに…
どうしてこうなっちゃうの…
今度は雨の音が強くなっていた。
「やば…」
本降りになってきてしまった。
びしょ濡れのこの格好で
電車に乗って帰る思考は無く、
あたしはそのまま走り続けた。
あたし…
また学校に行けなくなるの…?
嫌だ。
ほんの30分前までは、
全てが上手くいってたのに。
中川桃香が来るまで…
カラオケでだって、
アニソンは歌わないように
気を付けてたし、
途中で寄ったいくつかの店でも
明日香に合わせてた。

