「何を見てたの?!
先に叩かれたのは
あたしだったでしょ?!」
ごめん、とそう言おうとしたけど
口が動いてくれなかった。
「桃香!!謝れよ!」
強めの、大きい声で言ったのは
海斗だった。
「なんで?!
彼女が殴られても
何とも思わないの?!」
桃香も泣きだしそうな顔で
訴えた。
彼女、って…えぇっ?!
付き合ってる、のか…
「お前が悪い!良いから謝れ!」
いたたまれなくなったあたしは
バッグを掴んで走り出した。
最悪、最低。
こんな事になるなら、本当に…
家、帰ればよかった…
また、中川さんのせいで、
あたしの生活を壊していく。
付き合ってる2人を
喧嘩にさせちゃったし、
明日香にも嫌な思いさせちゃったし
いじめられてたのもバレたし…
だめだ、もう…
また失敗しちゃった…

