ある日突然...





座席に着こうとすると、後ろの席に永森さんが座っていた。

永森さんは、iPadでなにかをしていて、私たちには気がつかない。

先生も気づいたようで、声をかける。

「あら、永森さんちの黎君じゃなくて?」

不意に声をかけられ、ゆっくりと顔を上げた。

先生の顔を見て、

「頼子さん!」

永森さんが先生の名前を呼ぶ。

先生はさっき見かけていたことなんてなかったかのように、

「東京駅にあなたがいるなんてびっくりだわ!」

とか言っている。私は二人のやりとりをだまってみていた。

発車のベルがなり、先生があわてて荷物を荷物棚にあげ「座らないと!」などと言って前を向く。

それまでずっと立っていた私に気づき、

「小関さん・・・なぜ頼子さんと一緒なの・・・」

「私のお茶の先生なんです。今から先生と京都のお茶会に行くんです。」

「そうなんだ・・・僕は今から大阪の取引先に帰国の挨拶に行くんだ。今日は土曜日だから、もう一度行かないといけないんだけどね。」

「そうだったんですか、奇遇ですね!」

昨日の深夜(今日の早朝かも)の事はおくびも出さないで話をしている。

永森さんには普通のことだったのかな・・・

私にはすっごい出来事だったんだけど・・・

立っているのもおかしいので私も荷物を棚にあげ座った。

新幹線は走り出し、先生は本を読んでいる。

私は睡眠不足のため、あっという間に意識を手放していた。