リビングのドアを開けると母と永森さんが話をしているのが見える。
どこに座ろうか悩む。
こんなシチュエーション、いままで経験がない。
母が助け船を出してくれる。
「絢ちゃん、黎さんの隣に座ったら!?」
「あ、はい。」
言われた通り、永森さんの隣に座る。自分の家なのに、なんだかペースがつかめない。
「今ね!黎さんから役員会で絢ちゃんとの婚約の話が出たという話を聞いていたの。」
「えっ?そうだったんですか?」
「そうなんだ。正式な発表じゃないけどね。
まだ絢乃さんのお父さんにも正式にお目にかかっていないし。
役員もマスコミから聞くんじゃ、立場がないからね!」
「うちも来週、役員会でおじいさまからお話が出るらしいわよ!」
「そうなんですか?」
自分のことなのに、何にも知らない。ちょっとブルーになる。
私の態度を見て母が
「絢ちゃん、大丈夫よ!形式的なもので、絢ちゃんは普通にしていれば良いのよ!」
「なんだか、お話が大きくなっているような気がして・・・」
「大丈夫!僕が守るから!」
永森さんに言われ、永森さんを見ると優しい眼差しで私を見てくれる。
永森さんの顔を見たら、なんだか安心した。
「奥様、食事の用意ができました。」
「ありがとう。では食事にしましょう!」
立ち上がり、ダイニングに移動した。
