会長室の前に着きノックすると、秘書の川口がドアを開けてくれた。
中に入ると、
「おはよう、今日はご苦労さんじゃな。」
「おはようございます。今日はよろしくお願いします。」
「うむ、お前と絢乃さんとのことは今まで秘密利にしてきたが、今日からは公になる。人の口には戸は建てられんでな。マスコミはある程度、規制できるが、全部は防ぎきれんから、行動に注意しなさい。」
「はい、心得ております。」
「あと、この縁談を快く思わない者もおる。特にO社K社T社。どんな手で妨害があるか分からん。絢乃さんをしっかり守るんじゃぞ!」
「はい!」
「会長、そろそろお時間です。お支度を。」
会長室の時計を見ると、9時50分。役員会は10時からだ。
「では、失礼します。」
一度部屋に戻り、秘書からの呼び出しを待つ。兄貴は相変わらすブツブツ言っているが、気にしない。
5分前になり、秘書室のお姉さんが呼びに来たので兄貴と共に役員会室に行く。
じいさんと父さん以外は全員着席していたが、俺たちが入っていくと全員が立ち上がり一礼した。
兄貴と俺は、席まで行き、一礼して座った。
それからまもなく、じいさんと父さんがそろって入ってきたので、役員と共に立ち上がり一礼した。
