コン、コン、コン
「はい。」
「黎です。」
「入りなさい。」
ガチャ!扉を開け中に入る。
父さんは扉を背にして、自分の机に向かっていた。
ゆっくり振り返り
「そこに座りなさい。」
言われたとおりにソファに座る。
「明日の役員会だが、おまえの婚約を発表する。」
「えっ?早くないですか?まだ・・・」
「うまくいってないのか?小関のお嬢さんと・・・」
「うまくいくもなにも、婚約者として紹介されてまだ数日です。」
「今どき結納まで、なんて言わないだろ。」
「じゃあ、父さんのときはどうだったんですか!?」
「俺のときは、紹介された次の日にマスコミ発表されてた。」
「で、どう思ったんですか?」
「やられたって思ったよ。まだおまえの方がましだ!」
「それはそうかもしれませんが・・・」
「とにかく、会長が発表するって言うんだ、俺が止められるわけない。」
「はぁ〜。明日朝、おじいさまに言います。」
「健闘を祈るよ。」
「ありがとうございます。ところで、兄さんの婚約者って誰なんです?」
