とりあえず部屋着に着替え、父の書斎に向かう。
リビングを通り過ぎようとすると、兄貴に呼び止められる。
「おう!黎!ひさびさ!!」
「兄貴、もう帰ってたのか。」
「夕方からいるよ。かあさんが昼休みに電話してきて、夕食作って待ってるから早くこいっていうから、残業蹴って帰ってきた。おまえもいると思ったのにいないし・・・」
「ああ、俺もかあさんから電話があったけど、出先で出られなくて留守電に入ってたけど、先約が入ってたから、仕事って言って断った。」
「それありか?先約って、例のKOSEKIのお嬢様か?」
「ああ、まあ・・・」
「ふぅ〜ん、黎くんもやるねぇ〜!」
「そんなんじゃねぇよ!!」
「いいんじゃね!?」
「兄貴こそ、どうなってるんだよ!」
「俺は、まだ自由の身!お気楽、極楽でしばらくはいるさ!」
「なんでだよ!次男の俺に婚約者が決まってんのに、永森の後継者の兄貴に婚約者が決まってないなんておかしい!!」
「いいじゃねぇの?じいさんと親父がそのうち言ってくるでしょ!」
「まぁ、そうだと思うけど。」
「なに楽しそうに、お話ししてるの?」
母がリビングに入ってきたので、
「かあさん、兄貴の婚約者って決まってるの?」
「あったりまえじゃない!いないわけないわよ。」
兄貴が突然立ち上がった。
