車は夜の青山を渋谷方面に向かっているようだ。
「ご馳走様でした。」
「あぁ。」
永森さんの機嫌が引き続き悪い。円城寺さんが変なこというから・・・
この沈黙耐えられない。
どうしよう・・・
一人であせっていると、急に永森さんに抱きしめられた。
永森さんの顔が耳の横にある。そんな状況に私は固まってしまう。
「絢乃・・・」
永森さんの息が私の耳にかかる。
くすぐったくて、身をよじった。
永森さんはさらに痛いくらい強く抱きしめてくる。
それなのに、なんだか安心してしまう自分がいる。
「永森さん・・・」
はっと驚いたように
「ご、ごめん。痛かった?」
力を緩めてくれる。
「いいえ、大丈夫ですよ。心地よかったです。」
笑って返すと、照れくさそうにしている永森さんがいた。
「このまま帰したくないな。」
なんていう永森さんに「私も帰りたくない」と言ってしまいそうになる。でもまだ平日。
家にも永森さんと食事に行ってから帰るとしか言っていない。
いろいろ考えていると、永森さんに口唇をふさがれた。
ちょっとビクッとなってしまったけど、永森さんに必死についていった。
キスがだんだん深くなる。
このまま永森さんのものになりたい・・・と思いだしていたら車がハザードランプをつけ静かに止まった。
永森さんがゆっくりと離れていく。
窓の外を見ると私の家の前だった。
