「そんなたいした話じゃないんですけど・・・」
「いいよ、絢乃のこと知りたい。」
「うん、俺も知りたい。」
「おまえは聞かなくていいよ。」
「いいじゃん!俺も絢乃ちゃん気に入ったんだから!」
「ダメだって!絢乃は俺のなんだから・・・」
たいへん!話がおかしい方向に行っているような・・・
でも永森さんに『俺のなんだから』って言われてうれしいな*
笑顔でふたりのやりとりを見ていると
「もういい!絢乃帰ろう。」
不機嫌そうな永森さんに言われ、慌てて身支度をする。
「まだいいだろう!久しぶりに来たんだし、綾乃ちゃんの顔眺めていたいし。」
「おまえが悪い!」
そのまま立ち上がって、部屋を出て行く。私も立ち上がり、
「ごちそうさまでした!とてもおいしかったです。」
お礼を言うと、
「どういたしまして、本当にかわいいいね!黎にはもったいない。俺に乗り換えないかい。」
「あっ、いえ、その・・・」
答えに困っていると、永森さんが戻ってきて、何も言わず私の手をつかみ引っ張って部屋から出ていく。
「あ、あの、すいません。失礼します。」
引きずられながら挨拶をし、玄関まで行くと支配人が扉を開けてくれる。
外に出ると玄関先には黒塗りのハイヤーが止まっていて、運転手が扉を開けて待っていた。
玄関先で振り返り、支配人に挨拶をしていると、奥から円城寺さんがやってきた。
軽く会釈をすると、右手を挙げて挨拶を返してくれた。
永森さんも支配人に挨拶したけど、円城寺さんは無視して行くつもりみたい。
ハイヤーに乗り込み、ドアが閉められる。
玄関先には支配人と円城寺さんが見える。運転手が静かに車を出した。
