女将が車まで迎えに来ていて、おじいさまと挨拶を交わしている。
「お連れ様はもうお越しになっておられます。」
女将が不思議なことを言った。えっ!お連れ様?おじいさまと二人じゃないの?
おじいさまはニコニコと女将と一緒に歩いていくので、ついていくしかない。
お店の中に入り靴を脱ぐ。そのまま長い廊下を抜け離れに通される。
女将が部屋の前に膝をつき、
「お連れ様がお越しになりました。」
と声をかけ、ふすまの戸を開けた。おじいさまが先に入り
「遅くなってすまない。」
「わしらも今着いた所じゃ。」
なんて会話が聞こえる。不思議に思いながらも部屋に入り、
「失礼いたします。」
お辞儀をして頭を上げる。
