10分後、KOSEKIの本社ビル前に着き、タクシーを降りる。



受付に行くと、おじいさまの秘書の前田さんが待っていてくれた。前田さんと一緒にエレベーターで35階へ秘書室の前を通り、会長室に向かう。

コン、コン、コン。

「はい。」

ガチャ!

「会長、絢乃様がお着きです。」

私は開けてもらった扉の中に入る。

「おじいさま、こんにちは!お招きありがとうごさいます。」

お辞儀をする。

「急ですまんのう!まあ座りなさい。」

おじいさまの向かいに座る。すると女性の秘書がお茶を持ってきてくれた。お茶を飲みながら最近の話をする。もちろん永森さんのことは話さない。

6時を回るとノックの音が聞こえ、

「会長、お時間です。」

前田さんが呼びに来た。

「もうそんな時間か。」

二人とも立って会長室を出る。秘書室前には秘書の方々が頭を下げて私たちが通り過ぎるのを待っている。エレベーターに乗り1階で降りるとおじいさまの車が玄関前につけてある。

前田さんがドアを開けてくれて、私が先に乗り込む。次いでおじいさま。ドアが閉まり車が動き出す。