3時に会長室に行くまでに今日の仕事を片づけてしまいたい。俺はできるかぎりの仕事をこなし、3時10分前に部長に断りを入れて会長室に向かった。
会長室の前には秘書が待っていた。
「会長が中でお待ちです。」
コン、コン、コン。
ノックをして会長室の中に入る。
「お呼び立てしてすいません。」
「いや、かまわんよ。」
「単刀直入に言います。好きな人ができました。会長が決めてくださった婚約は破棄したいと思います。」
頭を下げる。
「そう慌てんでも、相手と会ってからでも遅くはないじゃないか?
そうじゃ、今晩一席設けよう。良いな!6時に会社の前に車を向かわせる。」
有無をいわせない口調に何も言えず、一礼して部屋を出る。
秘書の川口が一礼する。
