ん?やわらかい・・・不思議に思って目を開けると、景色が横を向いている。拓己さんが頬をさすっているのが見える。
なんで?と思っていると景色がまっすぐになった。
慌てて振り向くと永森さんがいた。
「どうして?」
「ごめん。振り向いたら、こいつが小関さんにキスしようとしているのが見えて、気が付いたら走ってた。で、小関さんが倒れそうだったから受けとめた・・・」
恥ずかしそうに永森さんがいう。
「あ、ありがとうございます。」
恥ずかしくなって、真っ赤になってしまった。
騒ぎを聞きつけて、人が集まってくる。家元も先生も・・・
家元が、
「拓己!何をやっている。いい加減にしなさい。」
拓己さんはしゅんとしている。
先生は、
「絢乃さんの姿が見えなくて心配したわ!」
私の後ろに立っている永森さんを見つけて、
「黎君、どうしたの?」
「昨日で挨拶回りが終わったので、母に場所を聞いて来ました。」
「あら!そうなの?」
驚いた顔から笑顔になって永森さんを見ている。
