「まず、各委員を決めたいと思う。今から黒板に書くので立候補する人は挙手するように!」

そういうと先生は私たちに背を向けて黒板に何やら書き始めた。

クラス委員・保健委員・風紀委員・図書委員……

先生が委員を黒板に書き始めるとクラスの中がざわめき立つ。

「委員なんて面倒くさいよねー。」
「俺部活あるから無理!」

委員会決めはいつだってなかなか決まらない。中学校の時からそうだ。
立候補なんてなかなか現れないし、推薦だって男子が面白がって友達をからかうだけ。
今回だってそうだ。

「立候補はおらんかー。」

先生が私たちの方を向いてそう尋ねたが、今までざわついていた教室が一変、静まり返ってしまった。
先生は困った顔をして頭をかいた。

「うーん、困ったな。せめてクラス委員だけでも決めとかないといけないんだ。今日の放課後クラス委員の集まりがあるからなー。」

それを聞いてみんなは「絶対嫌だ!」と口を揃える。
クラス委員っていったらすっごく大変で週に1回は委員の集まりがあるし、行事の度にリーダーを任される。

『リーダー』なんて仕事、私のガラじゃないもんね。

引っ込み思案でどちらかというと人見知りな私には無縁の委員だ。
そんな事を考えているとどこからか小さな紙切れが飛んできた。
周りを見渡すと前の方の席で私の方を見ている女の子がいる。
どうやら紙切れの主は彼女みたい。
私は綺麗に折りたたまれた紙切れを広げた。

『城田さん、クラス委員やってくれないかな?』

え!?私がクラス委員!?冒頭の文だけ読んで私はまた彼女の方を見た。
彼女は両手を合わせてすまなさそうな顔をしている。
紙切れにはまだ文章があった。

『私、部活が忙しくてさー。他の子も部活とかバイトでなかなか時間作れないみたいで。城田さん美術部だから活動日も少ないしお願いできないかなと思って!!』

よわったな…。