「受験も終わったし、そろそろ兄貴とまた練習行かないとな。」



「もう何も気にせず練習できるね。」



「そうだな。俺さ、あのサークルの中にめっちゃ憧れてる人がいて。今日あった人たちの中で、最後に自分たちが1番邪魔じゃない?的なこと言った人覚えてる?」


「なんとなく。」


本当はしっかり覚えてるよ。

だって先生だもん。



「翔さんって言うんだけどさ、めっちゃサッカー上手くて。俺初めて兄貴の練習付いて行った時に、翔さんのプレイにすごい感動したんだよね。俺もあんな風になりたい!」


田辺は赤く染まる空を見上げながら言ったから、あたしも空を見上げた。


「田辺ならなれるよ、きっと。」



サッカーのこととかよく分からないけど、田辺なら先生よりすごい人になれる気がした。