手の届かない君へ〜レジスタンス瞑Side〜



「あ、名前……」


「あ?」



女は"ごめんなさい"小さく呟くと、俺の手からシャーペンを抜き取る。



名前?
名前が何?



女を見ると、いそいそとシャーペンを動かし提出物の記入欄に文字を埋めていく。


所々、詰まっているようで手が止まる。



あぁ、そういう事か。





「…俺、いつも名前だけだから」


「…え?」



提出物は、今日の講義を聞いていたか確認するようなプリントで俺が名前しか書かなかった事を気にしたんだと思う。