何かふに落ちない顔をする兄貴。 一瞬ばれたか? とも思ったか、前を通り過ぎて行く時何も言わなかった。 多分、大丈夫だろう。 ばれてはいないと…思う。 逃げるように家を出て、大学へ。 午後からの講義にはまだ少し時間がある。 中庭で寝ようかと考えてみたが、寝過ごしたら洒落になんない。 俺はそのまま教室で時間を潰す事にした。 始まる20分前。 まだ誰もいないだろうと思っていたがいた。 あの小さい背中の女。 一番前の席でホワイトボードの真ん前に座っていた。