「なんでしょうか。姫華様」 「…………行くわよ」 「かしこまりました」 未だに姫華は、 苦しそうに、 悔しそうに、 一瞬だけ表情を歪めて、 俺に指示を出す。 「姫華ぁ―!!」 「………桜…」 このお金持ち学校には珍しく、 走り叫びながら 近寄ってくるのは、 姫華と俺の幼なじみの桜。 宮園 桜。 元気が取り柄で、 さっぱりとした性格の持ち主。