執事様とお姫様〜初恋〜



コンコンッ

「誰だね?」

「恭平です」

「入れ」

「失礼します」

正直なところー…
旦那様から直に
呼び出される使用人など、
数人しかいないし、

その数人はいつも特定の
使用人だけだ。

その“特定の使用人”の中に、
俺はいない。


9.8割の使用人は、
旦那様の秘書または
執事(俺の兄貴)から
出された指示に従って働く。

………俺も、その一人だ。

(厳密に言うと少し違うけど)

そのせいか、俺の心臓は
異常なまでにうるさくて、
珍しく…緊張していた。