「紗緒梨、知ってる?」
少しの沈黙のあと、
突然、蓮様がそう言った。
「……へっ!?ななな、何をですか!?」
か、噛んじゃった…。
「男…しかも吸血鬼の部屋に、の
このこ入ったらどうなるか」
どうなるか…って…。
それは―…。 ね…。
「………」
あたしもバカじゃないんで
わかってたし、
それなりの覚悟も、
してきたつもりだった。
だけど少しだけ…恐い。
でも、やっぱり…ね……。
目的は…あたしの“血”。
ただ、それだけ―…。
「紗緒梨?」
「構いませんよ? 気が済むまで
どうぞ…」
そう言ってあたしは、
立ち上がって蓮様が座る、
ソファーの床に…
蓮様と向き合うかたちで
座り、首筋をさらけだした。
どうせあたしに…
“拒否権”なんてものは…
ないのだから。
どうせ喰われるなら…
自分から出した方がまだ…マシ。
って思ったから。

