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四時間目。

教壇には、担任である丸い顔に丸眼鏡の藤井ではなく、赤い髪にくわえ煙草の竹河居吹が立っていた。
校内禁煙のため煙草に火は点けられていないが、きっと他の職員に見つかれば大目玉を食らうだろう。

腹痛で早退した藤井の代理だという居吹は、気だるげに教卓に片手を突いて、もう片方の手でちょいちょいと手招きをした。


「四時間目は学級会だって藤井先生に聞いてるけど」
「はい! 今度の親睦会の催し物を決めることになってますわ」
「そ。じゃー、あとはよろしく」


四時間目といえば、昼前のちょうど眠くなる時間帯である。
加えて直姫は、前日夜更かししたつけが、今になってピークに達していた。

三時間目が終わる頃に遅れて登校してきた真琴が後ろから話しかける声にも、曖昧な相槌を打つだけで、ほとんど聞いてはいない。


「竹河先生、今日も適当だね」
「ん? うん……」
「親睦会、どうなるかな? 僕はなんにも考えてないんだけど」
「へえ……」
「直姫、寝てるの?」
「んーん……」