恋と魔術のはじめ方

と言うと、ファリナはさっきの事を思い出した。
時を止める魔術が発動した時、この身代わりの魔時計をライラックが持ってて、それでそのライラックに自分が触れていたから助かったのだと…。

『へぇ、だがら、あの時…。…あ、でも魔術を吸収して…って、じゃあ、この時計の針が止まっているのって、時を止める魔術を吸収したから…とか?』

当てずっぽうのファリナの推理に、ライラックは関心したような顔を見せ、

『よく分かったね。…魔術の効果が時を戻すんなら身代わりの魔時計の針も戻るし、進むんなら針は進むし、そしてさっきみたいに時を止める魔術なら、針も止まってしまうからね…それに……』

身代わりの魔時計と呼ぶ"金色の懐中時計"の周囲を親指で擦りながら、説明している。

ファリナはライラックの丁寧な説明に、最初は頷ながら聞いていたのだが、

『…』

だが、内心は複雑だった。

いくら有名な魔術士とはいえ、年は自分よりも低い幼い子供なのだ。