恋と魔術のはじめ方

『ふぅ…』

ここまで話したところで、ファリナはもう一度大きく息を吐き出した。

目の前の噴水に座っているライラックは瞬き一つせず、ファリナの話を聞いている。周囲の疎らにいる人達もあちらこちらで聞き耳を立てるようだ。

だがそんなことはお構いなしに、ファリナはライラックを真剣な眼差しで見続けながら、話を続けた。

『あなたがあの魔術士に勝てるかは分からないけど、力を貸し…』

そこでファリナの言葉はかき消された。

バーーッン!!

どこからかそこら中に一気に鳴り響く爆音とともに、視界が眩しいほどの閃光に包まれた。

『な、なによ?!これ…』

あまりの閃光に目を瞑ったファリナは驚きを隠せない。

一瞬の出来事で、閉じたまぶたの先で何が起こっているのかも分からなかった。

さらに、

『えっ!?!』

誰かがファリナの左手を掴んだのだ。

慌てて掴まれた手を振り解こうとするが、逆に強く掴まれ、

『じっとしてないと助からないよ、お姉さん。…まぁ、もう目を開けても大丈夫だとは思うけど…』

と、怒られてしまった。