恋と魔術のはじめ方

『ピンポーン!…でも、今度のはそんな悪い条件じゃないと思うけどね…』

『…』

軽い口調のライラックに対し、半信半疑の視線をファリナは送った。

『そんな心配しなくてもいいよ。…ただ、そいつを倒したら手伝ってほしいことがひとつあってさ…それだけだよ』

『ふ〜ん。まあ、それならいいけど』

とは言ってみたが、ファリナは内心気持ちが軽くなったように思えた。

まさか手伝ってもらえるとは夢にも思ってなかったからだ。
そうファリナが思っているのも束の間、ライラックが話を続ける。

『…で、その倒したい魔術士って、どこにいるの?…理由も言いたくなければ別にいいけど…』

ライラックはそう言うと、やや右に首を傾げた。その小さな容姿に似つかない、落ちついた雰囲気を漂わせている。

その落ち着き払った態度に、ファリナは大きく息を吸い込み吐き出す。

『ふぅ。…ちゃんとは話すわ。私の住んでいた街をアイツから守りたいの…だから魔術士になりたいって思ったの』

ファリナはこれまでの経緯を話し始めた。